井坂洋子

入口

彼は腐った藁の上に身を横たえるときも、目を離さず天空をに
らんでいた。月のひかりがまっすぐに射し込み、床一面、反射で
明るい。淫らな空想をして亢奮するのを、月の女神はじっとごら
んになっているのだ。
 彼は牢番の子として、鉄条網に沿って何周かしたあと、きまっ
て自涜したくなった。


『七月のひと房』(栗売社分室、2017年01月25日発行)


https://blog.goo.ne.jp/shokeimoji2005/e/e7ff01bc64143da3488e6886ee5b3a18

 
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