萩原朔太郎
遊園地にて
遊園地(るなぱあく)の午後なりき
樂隊は空に轟き
廻轉木馬の目まぐるしく
艶めく紅(べに)のごむ風船
群集の上を飛び行けり。
今日の日曜を此所に來りて
われら模擬飛行機の座席に乘れど
側へに思惟するものは寂しきなり。
なになれば君が瞳孔(ひとみ)に
やさしき憂愁をたたへ給ふか。
座席に肩を寄りそひて
接吻(きす)するみ手を借したまへや。
見よこの飛翔する空の向うに
一つの地平は高く揚り また傾き 低く沈み行かんとす。
暮春に迫る落日の前
われら既にこれを見たり
いかんぞ人生を展開せざらむ。
今日の果敢なき憂愁を捨て
飛べよかし! 飛べよかし!
明るき四月の外光の中
嬉嬉たる群集の中に混りて
ふたり模擬飛行機の座席に乘れど
君の圓舞曲(わるつ)は遠くして
側へに思惟するものは寂しきなり。
https://ameblo.jp/fifth-of-july/entry-12623466595.html
http://nakahara.air-nifty.com/blog/2014/11/post-1e78.html
樂隊は空に轟き
廻轉木馬の目まぐるしく
艶めく紅(べに)のごむ風船
群集の上を飛び行けり。
今日の日曜を此所に來りて
われら模擬飛行機の座席に乘れど
側へに思惟するものは寂しきなり。
なになれば君が瞳孔(ひとみ)に
やさしき憂愁をたたへ給ふか。
座席に肩を寄りそひて
接吻(きす)するみ手を借したまへや。
見よこの飛翔する空の向うに
一つの地平は高く揚り また傾き 低く沈み行かんとす。
暮春に迫る落日の前
われら既にこれを見たり
いかんぞ人生を展開せざらむ。
今日の果敢なき憂愁を捨て
飛べよかし! 飛べよかし!
明るき四月の外光の中
嬉嬉たる群集の中に混りて
ふたり模擬飛行機の座席に乘れど
君の圓舞曲(わるつ)は遠くして
側へに思惟するものは寂しきなり。
https://ameblo.jp/fifth-of-july/entry-12623466595.html
http://nakahara.air-nifty.com/blog/2014/11/post-1e78.html